なっくすブログ

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僕の初めての経験

僕の初めての経験。

 

そう、あれは今から5年前だろうか。

 

照りつける様な夏の暑さ。額から噴き出す大量の汗。

 

外に出れば踊り狂うほどの紫外線が僕の皮膚を焼き、体内から焦がす様な熱風が僕を包み込む。

 

「暑くて暑くてたまらない。」

 

いつもと特別何かが変わっているわけでもないのだが、もはや口癖と化したセリフを一人呟いていた。

 

そんな時だった。

 

ふと目を上げると、視線の先にカラフルな何かがいた。

 

あれは一体何なのだろうか?

 

まさかこのとき感じたほんの些細な興味心が僕の初めてを奪うなんてこの時は到底思えなかった。

 

僕はただひたすらに溢れ出る汗を拭いながらそれに近づいて行った。

 

だんだんとその姿がはっきりと見えて来る。

 

それは果たして幻想か、はたまた現実か。

 

お世辞にも美しいとは言えないのだが、確かにそこにそれはあった。

 

一体何なのだろうか?

 

近づいて手に取ってみたい。触ってみたい。

 

僕は溢れ出る欲望に身を任せ、それに近付き手に取った。

 

「冷たいっ!!」

 

別に冷たい事自体には特に驚いてはいない。

 

予想だにしてなかった事実に驚いただけだ。

 

みんなも経験したことあるのではないのだろうか?

 

プリンだと思って茶碗蒸しを食べたらクソ不味かった。

 

それと同じだ。

 

僕は再びそれに手を差し伸べた。

 

2度目ということもあり、今度はちゃんとそれを僕の手のひらに乗せることが出来た。

 

ひんやりとして気持ちいい。

 

僕はそれを熱した自分と絡み合うかの様に頬に当て続けた。

 

生まれて初めての経験だった。

 

手に取っているだけで気持ちいい。

 

こんな経験今までなかった。

 

あぁ、この時が永遠に続けばいいのに。

 

ここで僕の中の一人の欲望が僕に囁きかけてきた。

 

「食べちゃいなよ。」

 

び、びっくりした〜。

 

なんて破廉恥なことを言うんだ。

 

生まれてこの方エロと言う物に一切触れてこなかった僕は驚き、咄嗟に後ずさった。

 

僕には足を踏み入れることのない世界。

 

小さい頃からそれの名前は知っていたが、自分とは無縁だと思いいつもそれについての話題が出る度に軽く相槌を打ちながらその場をやり過ごしていた。

 

しかし何なんだろう?この溢れ出る欲求

 

まさか自分がそれの事を意識する事なんて一生ないと思っていた。

 

自分でも何が何だか分からない。

 

だがただひたすらに僕の中の一つの欲望が僕の体の自由を奪って行こうとしていることだけは分かる。

 

あぁ、したい、やりたい、食べたい、体内に入れたい。

 

そう思った瞬間僕は自分の体を止めることは出来なかった。

 

手に取っていたそれを引きちぎり、ありのままの姿にした。

 

あぁ、美しい。ずっと眺めていたい。

 

自分でもこの時何故こうしたのかは分からないが、恐らくジュラ紀白亜紀より受け継がれる僕の中の獣の心がそれを成したのだろう。

 

匂いを嗅ぎたい。

 

近寄って匂いをかいだ。

 

とてもいい匂い。

 

僕の鼻の中を鋭く貫き、体内に溶け込んだ。

 

 

まだ足りない。

 

「舐めたい。」

 

舌で絡める様にそれを舐めた。

 

味はよく分からなかったのだが、僕の中のもう一人の自分はただひたすらにそれを舐め続けた。

 

数分経っただろうか。

 

お互いに緊張も解けてきたのだろう、それは少し前までの冷たさを失っていた。

 

でも僕はそれをひたすらに舐め続けた。

 

舐めて舐めて舐め続けた。

 

もう僕は誰にも止められなかった。

 

体内に入れたい。

 

僕はそれを口の中に流し込んだ。

 

ほのかに香る匂いと、粘つく様な感触。

 

僕は思わず初めての感触にそれを吐き出してしまった。

 

しかし再びそれを両手ですくい上げ、口に運んだ。

 

何故か本能的にそうしなければいけないと感じた。

 

心なしか先程より美味しい気がする。

 

それからの僕はただ一心不乱にそれを舐めては口の中に流し込み貪る様に食べ続けた。

 

それに出会ってから僕は時間にして、ものの数十分しか経ってないのかもしれない。

 

僕はその時間が数時間、いやむしろ永遠に感じられた。

 

しかし時は残酷だ。

 

始まりがあれば終わりがある。

 

僕は手を止めた。

 

途端に非常なる罪悪感が僕を現実へと引き戻した。

 

正直自分でも何でこんなことをしたのか未だに分かっていない。

 

よく無責任な男には気を付けろと中学生の頃に習った。

 

本当に悪気はなかった。

 

ただ自分に素直になりたかっただけなんだ。

 

照りつける様な暑さのせいにはしない。

 

僕の中の欲望に身を任せてしまった自分が悪い。

 

本当に申し訳ないことをしてしまった。

 

2度と取り返しがつかないかもしれない。

 

一生をかけてそれに尽くさなければいけないほどの事をしてしまったのかも知れない。

 

でも、もしももう一度僕の声を聞いてくれるのなら、せめて僕なりの謝罪の気持ちを伝えさせて欲しい。

 

 

「ご馳走様でした。」

 

 

そう呟くと僕は箸を置き、セブンイレブンのロゴが書かれた冷やし中華のカップを机に置きテレビのリモコンを付けた。

 

 

 

あぁ、セブンイレブン冷やし中華食べてぇ。

 

 

 

終わり